日本酒検定とは?取得のメリットから合格のコツまで解説
「日本酒検定」という資格を耳にしたことはあるでしょうか。
日本酒検定は、日本酒の知識を深めた人が取得できる資格で、習熟度に伴いランク付けがされています。
近年、日本酒の人気は国内外問わず増しており、日本酒に対する理解を深めようと考える方も多いようです。
この記事ではそんな日本酒への理解を深めたいという方におすすめの「日本酒検定」について、取得のメリットから、級ごとの難易度、合格のコツまで詳しく解説します。
日本酒検定の概要
日本酒検定とは、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)によって主催されている検定試験です。
正しい日本酒の魅力や知識を広く社会へ普及し、消費者が日本酒を好んで親しむことを目的としています。
日本酒検定は年間約1500人が受験する人気の認定試験で、初心者向けに、気軽に自宅で受験できる級の設定があります。
また、同じ日本酒に関する検定である唎酒師(ききさけし)とは異なりテイスティングによる試験は行われないことも特徴です。
SSIとは?
SSIは酒造業界や、酒類流通業界の支援により1991年に設立された組織で日本酒、焼酎の提供・販売従事者の育成を主たる目的としています。
また、SSIは日本酒の国際的な展開にも強い関心を抱いています。
従って、日本酒検定の受験を行うことで、「日本酒に関心がある」と考える方はもちろん、「海外向けの日本酒事業に力を入れたい」と考える方の求める知識も習得可能と言えます。
日本酒検定の種類と概要
日本酒検定は、難易度や習熟度に合わせて級制度でランク分けされています。
日本酒検定には「1級」「準1級」「2級」「3級」「4級」「5級」の6つの種類が存在し、日本酒検定公式HPではそれぞれ以下のような合格者の人物像を想定しています。
1級・準1級:日本酒のあらゆることに精通し、後世へ適切に継承発展を行える者
2級:日本酒の特徴、魅力を理解したうえで、新たな楽しみ方を考案できる者
3級:日本酒の基礎知識、周辺知識のみならず、特徴、魅力を理解し第三者に伝えられる者
4級・5級:日本酒の基礎知識、周辺知識を活用して自身が日本酒の魅力を楽しめる者
(“NPO法人FBO”)
級以上の級は専門的で難しそうな印象を受けてしまうかもしれませんが、4級・5級は時間や場所に関係なくオンライン受験できるため、気軽に受験が可能です。
また、不合格になってしまっても1度の申し込みで3回までなら再受験も可能であるため、初心者向けの受験級であると言えます。
また、日本酒検定では以下のような分野が出題されます。
歴史・文化:歴史、文化(飲酒文化、地域文化など)
造り方:原料、製造方法
モラル・マナー:未成年飲酒の危険性や飲酒運転の撲滅など、飲酒のモラル、マナー
楽しみ方:飲用温度、酒器、料理との相性、ラベルの読み方など
雑学:生産量、消費量、海外事情、銘柄、醸造元などさまざまなこと
(“NPO法人FBO”)
日本酒検定の受験資格
日本酒検定の受験資格には以下の条件が定められています。
20歳以上であること
受験級の一つ下の級試験に合格していること(1級・準1級・2級を受験の場合)
- 受験申込時に20歳以上であること
- 受験級の一つ下の級試験に合格していること(1級・準1級・2級を受験の場合)
日本酒検定はいきなり任意の級を受験することはできず、段階的に昇級を重ねる仕組みになっています。
ただし、日本酒学講師もしくは酒匠認定者は準1級から受検が可能であり、 唎酒師は2級から受検可能です。
日本酒検定の申し込み方法
日本酒検定は日本酒検定公式HPより申し込むことができます。
5級、4級の受験および3級をCBT形式で受験する場合は、CBT検定ウェブサイトより新規会員登録をした後に受験料の支払いを行うことで受験が可能になります。
受験料の決済サービスにはPayPalが設けられています。
CBT形式は、支払い確定後24時間以内であればいつでも受験が可能です。
1級・準1級・2級の受験および、3級を会場で受験する場合は公式HPより、申し込むことができます。
CBT形式と同様に新規会員登録を行った後、受験日程と受験会場の選択、受験料の支払いを行います。
会場受験を行う際の支払い方法はクレジットカード及び銀行振り込みです。
日本酒検定の検定料
日本酒検定の検定料は受験級によって異なります。
日本酒検定の検定料は以下のとおりです。
1級:5,250円
準1級:4,700円
2級:4,200円
3級(会場受験):3,650円
3級(CBT):4,650円
4級:1,000円
5級:1,000円
(“NPO法人FBO”)
ただし、FBO法人・賛助会員ならびに提携加盟団体法人・賛助会員登録企業所属従業員である場合は資格取得に関わる費用に割引が適用される場合があります。
日本酒検定公式HPよりご確認ください。
また、日本酒検定ではマイページより領収書の発行を行うこともできます。
日本酒検定の合格基準
日本酒検定は、総受験者数に対する合格者数の割合である「合格率」は公表していません。
ただし、合格基準である「正答率」は公式HPにおいて公表されています。
正答率は、全問題数に対する正答した問題の割合のことです。
正答率を合格基準に採用していることから、難易度ごとに点数配分を行っていないことが分かります。
また、日本酒検定では、「歴史・文化」「造り方」「モラル・マナー」「楽しみ方」「雑学」などの全般的な分野から幅広く出題されます。
そのため、「深く理解している分野」「自信のある問題」からテンポ良く解くことが合格の鍵になるでしょう。
特に、級の難易度に関わらず、試験時間は同一の50分間であるという点は特に注意が必要です。
そこで、ここではそれぞれの級の合格基準と難易度、合格のコツについて解説します。
日本酒検定5級の合格基準
日本酒検定5級の合格基準は、全問題数のうち正答率が70%以上と定められており、正答率の基準は日本酒検定の中で最も低いです。
日本酒検定5級はネットでの受験が可能であり、正誤選択式の30問を50分間で解きます。
正答率が70%以上であるため、21問以上の正解で合格できます。
そのため、焦らず自信のある問題を着実に解くことで合格の可能性が高まります。
日本酒検定5級は、不合格になってしまっても一度の申し込みで3回までは再受験が可能です。
そのため、初めての受験で勝手があまりわからず、不合格になってしまったとしても傾向を把握した上で再度受験ができます。
日本酒検定4級の合格基準
日本酒検定4級は、5級と同様に正答率の合格基準70%以上で、5級と共に正答率の基準は日本酒検定の中で最も低いです。
5級と同様、ネットでの受験が可能であり、正誤選択式の30問を50分間で解きます。
正答率の合格基準は70%以上であるため、21問以上の正解で合格できます。
ただし、5級の正誤問題とは異なり、二肢択一問題方式であるため5級よりも深い理解が必要になります。
4級の試験は日本酒検定を受けたことがない場合でも受験が可能なため、「日本酒の知識に自信がある」「腕試しに受けてみたい」という方は5級からではなく4級から受験してみてはいかがでしょうか。
日本酒検定3級の合格基準
日本酒検定3級はCBT方式による受験と、会場での受験を選択できます。
正答数の合格基準はどちらも70%以上で、5級・4級ともに日本酒検定の中では最も低いですが、問題数は50問と増えていることが特徴です。
また、解答方式は四肢択一で、選択肢に誤りやすい回答が含まれるようになるため、注意が必要です。
1問あたりの回答時間も5級や4級に比べて短くなっているため、「自信のある問題」や「即答できる問題」から優先的にテンポ良く回答することが重要になるでしょう、
CBT方式の場合は試験終了時に結果が判定され即時通知されますが、会場受験の場合は受験から2週間以内に通知されます。
日本酒検定2級の合格基準
日本酒検定2級の正答率の合格基準は75%です。
問題数は50問であるため、38問以上正答することで合格できます。
また、2級以上の級は、CBTやネットでの受験は選択できず、会場での受験のみ選択可能です。
解答方式は四肢択一方式であり正答率も3級の試験より上がっているため、難易度は高くなっていると考えることができます。
日本酒検定は問題ごとの配点に偏りはありません。
そのため、もし「わからない問題」「自信のない問題」に遭遇した場合は、固執しすぎず「自信のある問題」から優先してとくと良いでしょう。
日本酒検定準1級の合格基準
日本酒検定準1級の正答率の合格基準は80%です。
問題数は50問であるため、40問以上の正答で合格できます。
解答方式は四肢択一方式で合格基準も上がっていることから、2級よりも難易度は上がっていると言えます。
日本酒検定準1級では全体の10問しか誤答が許されないため、慎重な回答を心がけることが重要になります。
また、1問あたり1分の回答ペースであるため、限られた時間で正確な選択ができるように対策を行いましょう。
日本酒検定1級の合格基準
日本酒検定1級の正答率の合格基準は85%です。
問題数は他の級と変わらず50問であり、43問以上の正答で合格できます。
日本酒検定準1級での合格のための許容誤答数は10問でしたが、1級では7問です。
そのため、準1級受験時よりも一層、慎重かつ効率的な回答が求められます。
日本酒検定の中では、正答率の基準が高く難易度の高い試験であると言えますが、公式の例題も公表されているため、わからない点や難しく感じる点がある場合は徹底的な対策を講じてから試験に臨むこと良いでしょう。
日本酒検定を受けるメリット
ここでは、日本酒検定を受けるメリット、日本酒検定資格を取得するメリットを解説します。
日本酒への造詣が深いことの客観的な証明になる
日本酒検定は、日本酒の味や造り方などの知識だけでなく、歴史などの背景を含めた体系的な知識が求められます。
そのため、日本酒への深い理解を持ち、精通していることの客観的な証明になります。
飲食店や酒屋などの日本酒を扱う環境においても、日本酒の勉強をすることはできます。
ただし、実践面が中心である場合や、取り扱いのない日本酒について学ぶことは難しい場合もあります。
日本酒検定は特定の分野だけでなく日本酒に関わる全般の知識が問われるため、試験勉強を通して、自ずと個々の知識を広い視野で眺めて理解することができるようになります。
スピード感のあるアウトプットが可能になる
日本酒検定は問題時間に対して回答時間が短いことから、日本酒に関連する知識を正確かつ迅速にアウトプットする能力が身につきます。
3級以上の試験は1問あたり1分であるため迅速な回答が求められます。
また、級が上がるにつれ正答率の合格基準は上がるため、より正確なアウトプットが必要になります。
これらの能力は試験だけでなく、実生活や業務において強みとなることが想定されます。
特に、営業・広報・接客の場における即応能力など、理論だけでなく実践的な環境における活用が期待できます。
日本酒検定の例題
日本酒検定公式HPでは3級から1級までの例題が公表されています。
ここでは、日本酒検定公式HPで公表されている例題を紹介します。
(“NPO法人FBO”)
日本酒検定3級の例題
【問28】主に「大吟醸酒」や「吟醸酒」と表記されたものが該当するタイプはどれか。
1)薫酒香りの高いタイプ 2 )爽酒軽快でなめらかなタイプ
3)醇酒コクのあるタイプ 4)熟酒熟成タイプ
【問29】特定名称にかかわらず、5年以上(特に10年以上)熟成させたものが該当するタイプはどれか。
1)薫酒香りの高いタイプ 2)爽酒軽快でなめらかなタイプ
3)醇酒コクのあるタイプ 4)熟酒熟成タイプ
(答え)【問28】1) 【問29】4)
日本酒検定2級の例題
【問1】米とは一般的に稲のどの部分を指すか。
1)籾 2 )胚芽 3)種皮 4)種実
【問2】世界で生産される米のうち、インディカ種が占める割合はどれくらいか。
1 )約80 % 2)約60 % 3)約40 %
(答え)【問1】4) 【問2】1)
日本酒検定準1級の例題
【問3】もち米に含まれるデンプンはどれか。
1)アミロペクチン2 )プロテアーゼ 3)ペプチターゼ 4)グノレコース
【問4】兵庫県で「愛船117」と「山雄67」を交配して開発された、山田錦以上に大粒で心白も大きい酒造好適米はどれか。
1)兵庫夢錦 2)伊勢錦 3 )愛山 4)玉栄
(答え)【問3】1) 【問4】3)
日本酒検定1級の例題
【問1】日本酒の商品特性として適切なものはどれか。
1)飲用温度帯の幅が比較的狭い
2)他酒類と比較すると身体を冷やす効果が低い
3)原料(品種)の違いが香味に大きな影響を与える
4)アルコール度数が比較的低いものが多い
【問2】高精白が可能で、「蔵の華」を代表とする心白の分類はどれか。
1)腹白状心白 2 )眼状心白 3 )線状心白 4)点状心白
(答え)【問1】2) 【問2】4)
日本酒検定以外の日本酒資格
日本酒検定以外にも日本酒に関わる資格は存在します。
ここでは、その中でも特に人気度の高い資格を3つご紹介します。
唎酒師(ききさけし)
唎酒師とは、日本酒検定の運営団体と同じSSIの主催する認定資格です。
日本酒検定との違いは、日本酒に関する知識だけでなくビジネスに関連した知見を深めることができる点です。
唎酒師の取得者は国内外に4万人おり、日本酒を扱う業務を行う方や日本酒への理解を深めたいと考える方にはメジャーな資格であると言えます。
日本酒検定は筆記試験のみで認定を得ることができますが、唎酒師は筆記試験だけでなくテイスティングの技能も求められます。
唎酒師の試験は4次に分けて行われ、全ての試験で70%以上の正答が必要です。
SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)
酒ディプロマは日本ソムリエ協会によって主催されている認定試験です。
酒ディプロマは日本酒だけでなく、焼酎の知識が問われるためどちらの知識も深めることができます。
CBT方式の一次試験および論述とテイスティングを行う二次試験に合格する必要があります。
合格率は4割程度と言われており、取得によって日本酒や焼酎に関する知識を深めることができるようになります。
酒匠(さかしょう)
酒匠は、日本酒検定や唎酒師と同じSSIの主催する認定資格です。
酒匠は、日本酒に関わる他の資格に比べてテイスティングの能力を強く問われることが特徴です。
テイスティングを元に、味の要素や香りへの理解を深めることを目的としています。
また、これらの定性的に捉えられることもある判断基準を「視覚化」や「数値化」によって多くの人が理解しやすい表現を行う能力の育成も行うことができます。
酒匠の試験は4つに分けて行われますが、そのうちの半分がテイスティングに関する試験であることからも、テイスティング能力を重視していることがうかがい知れます。
日本酒検定を取得するとお酒に対する視点が広がる
日本酒検定は日本酒に対する体系的な知識を深めることができるようになるため、理解が深まります。
また、日本酒検定は他の資格に比べても容易に取得が可能なため、日本酒に関わる資格取得の第一歩としてもおすすめです。
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